#0010 いつもそこには  谷川俊太郎・荒木経惟『写真ノ中ノ空』

見上げるといつも


信号で立ち止まった交差点で、あるいはぼんやりと歩いている歩道で。
ふと、視線を上げてみる。
そこにあるのは、空。


雲一つない青空だったり、暮れゆく夕空だったり、
時に今にも降り出しそうな曇天だったり。
雲も、さまざまに姿を変えて。


でも、いつだって空はそこにある。


視線を上げる、そんな些細な動きなんだけれど。
どこか、日常のことから一歩離れて
フッ、とココロが軽くなっていくような。


そんな気分って、けっこう好きだったりする。


その気持ちの理由が、ふと手にした本の中に、あった。
谷川俊太郎の詩と、荒木経惟の写真。
全て、モチーフは空。
写真ノ中ノ空
谷川俊太郎荒木経惟『写真ノ中ノ空』(アートン刊)

なにもかも失ってもこの空がある
空は母だ
どんなに甘えてもいい 空になら


谷川俊太郎


そう、そうなんだよな、と
ストンとココロに落ちるものがあった。
別に、甘えているつもりはないけれど。
いつだって、そこにいてくれる、空。
これくらい、絶対にそこにいてくれる存在があるだろうか。


この空が、無くなることがありませんように。。。


*タイトル部の写真はjackaliによるもので、この本収録の
 アラーキーによるものではありません、念のため。