行くことのなくなった街たち

ふと見上げた電光掲示板の地名に…



電車に乗ったときに、ふと通り過ぎる街。
あるいは、終電を待つホームで、
反対側のホームの行き先掲示板に表示された
LEDの地名サイン。


かつて若い頃の自分が住んでいた街については
もちろん、だけれど。
昔付き合っていた彼女が住んでいた街、
あるいはちょっと気になりながら、遊びに行ったり来たりしていた
異性の友人が住んでいた街。


そんな街の、駅の改札口の様子や、
駅前の商店街の店々、
彼女あるいは友人の部屋の空気、
その部屋の窓から見えた景色…。


たまに黄昏時の電車に乗りながら、
ふと窓の外に見えた懐かしい街の風景に、
なんだかちょっとだけ切ない気持ちになったりして。
そして、もう絶対に取り返せない時間に対する
何とも言えない感情が、わき上がってきたりするわけなのです。