#0042宇多田ヒカル/I LOVE YOU(尾崎豊)


私の世代の人は、
好き嫌いにかかわらず、
尾崎豊の音楽を何度か耳にしているのでは。
かくいう私も、
高校時代、付き合っていた彼女がよく聴いていたことから
レンタルCD屋で借りてテープにダビングしたものを
けっこう聴いてました。あぁ懐かしい…。


その後、ドラッグ問題が報じられ、
活動を休止し、
復活ライブを行うも、ほどなくして
その不可解な死が報じられ。


そのときの新聞の号外を、
「あぁ、そうなってしまったか…」という
予測感半ば、残念感半ばで
見た記憶が、アタマの中に残っています。


その後、しばらくして
ドラマ「この世の果て」のテーマとして
尾崎豊の「Oh My Little Girl」を聴いたときは、
ちょっと震えました。
これがまた、痛々しいドラマで。
なんてったって、脚本が野島伸司ですからね…。


実は、この「Oh My Little Girl」には
ごく私的な記憶のひっかかりがあるんですよ。


この曲、アルバム「十七歳の地図」の収録曲なのですが、
当時の私は今に増してお金がなかったので、
生テープ(という言い方って通じます?未録音のテープ、ということです)一本すら
買うこともままならない状況。
で、レンタル屋で「十七歳の地図」を借りてきたものの、
その全曲を収録できるテープが手元になく。
しかたなく、ざっと聴いてみて、あまり好みでない曲を
ダビングせずにおいたんですね。
つまり、本来は全10曲収録のアルバムなんですが、
私のカセット「十七歳の地図」には
9曲しか入っていない、というわけで。
十七歳の地図(紙ジャケット仕様)


ドラマを見て、「もう一度この曲、聴いてみよう!」と思い
カセットを取り出してみたら、
なんと「Oh My Little Girl」が収録されていない!!!


ちょうど尾崎がこの世を去った後だったのですが、
そのため、「もしやこの曲、尾崎が死んだからって
アウトトラックまで収録して再リリースしたのでは?」と
勘ぐったりもして。
今から思えば、大笑いなエピソードですが。


おっと、ちょっと話がズレましたね。


なんだか、ふと思い出して、
尾崎豊の曲を聴いてみたわけです。


実は、尾崎豊のトリビュートアルバム「BLUE」で
宇多田ヒカルの「I LOVE YOU」を聴いて以来、
改めて尾崎豊が気になったりしてはいたのです。

BLUE ~A TRIBUTE TO YUTAKA OZAKI (CCCD)


ついつい、この宇多田バージョンの「I LOVEYOU」が
見たいばかりに、宇多田ヒカルのDVD「BOHEMIAN SUMMER 2000」まで
買ったりして。

BOHEMIAN SUMMER 2000 [DVD]


このDVDを見て、ちょっと驚きました。
尾崎豊トリビュートのCDのライナーに、
「奇跡の演奏っていうのがあるんだ、と思った」というようなことが
書かれていたけれど、まさにそうなんですね。
上記のトリビュートCDに収録されているのは
宇多田ヒカル千葉マリンスタジアム(幕張)のライブで歌った
ライブバージョン。
実は、このトリビュートアルバムに収録すべく
何度かこの歌をスタジオレコーディングしたらしいのですが、
いずれも、このライブテイクにはかなわず、
結局ライブテイクを収録したらしいです。


それにしても、意外なときに
「奇跡の演奏」の瞬間は訪れるモノで。


事情をバラしてしまうと、
宇多田ヒカル、この曲をライブで歌う、っていうときに
一度、トチってたんですよ。
歌詞を間違えて。
そこまで、このDVDには収録されてます。


で、「あ〜もぅやっちゃったよ〜、ゴメンなさいっ。
もう一回やっていいですか!?」と言って二回目に歌い直したのが
あのトリビュートCDに収録されていた曲、というわけ。


義太夫の豊竹英太夫が、
義太夫をやっているときは、
額に血管も浮き出しているし
相当感情込めているように見えるけれど。
でも、冷静じゃないとああいう熱の入ったものはできない」というようなことを
(記憶なのでちょっと曖昧…)
話していたのを、ふと思い出してしまいました。
その、「感情移入するのでなく、冷静に歌う」ところに
聞き手の感情をかき立てるものがあるんじゃないか、と思ったりして。


それが、きっとこのライブテイクでは現れてたんじゃないかなぁ…、と。