「ごめんなさい」

泣けた。


家に仕事から帰ると、ポストには母親からの一通の封書が。
何だろう?何か問題でもあったのか?
先日実家に帰ったときには言えなかったようなことが
あったのか?と。


で。
玄関のカギを開ける前から、封を切る。


そこに入っていたのは、手紙と、
そして新聞の切り抜き。
新聞なので両面に記事があり、
しかも裏と表どちらを見ても
しっかりと記事が全文収まっている。


…いったい、どっちの記事を見せたいのか?


一方は、「無線LANは安全ですか?」の記事。
もう一方は、経済アナリストへのインタビュー
「デフレ終わり劇的変化」と、
節約アドバイザーへの「まずリスクない節約を」。


うーん、PCオンチの母親が、私のPCユーザ度を測りかね、
「とりあえず無線LANとかいうものでの詐欺に引っかからないように!」という
配慮かとも思ったけれど、
どうやらこの「まずリスクない節約を」を読め、という
ことかな、と判断しました。


といいつつ、実は、新聞よりも先に
手紙を読んでみたんですよ。


そこに綴られていたのは、すごく久しぶりに見る
母親の手書きの文字。


先日、大晦日の夜を久々に実家で過ごしたのだけれど、
その時のことが書かれていました。
急に私も実家に帰っての年越しを決めたのでしたが。


「あまり(正月らしい)準備が出来ず、ごめんなさい。」


そうした内容が、「ごめんなさい」「申し訳なく」
「悔いが残りました」との
言葉と共に、綴られていました。


…不覚にも、ちょっとグッと来ました。


そうか。親というのは、こういうものなのか。
私、いまや三十路半ば。
この歳にして知る事、というのもあるのか。


私の生活のことを思いやりながら、
同封された「節約」の切り抜き。


手紙の内容に、
ちょっとだけ、円谷幸吉の遺書*1が思い浮かんだりして
一瞬、苦笑してしまいましたが、
でも、なんだか、切なさがググッときました。


そして、次いで思い出したのが、野口英世の母・シカの手紙。
猪苗代町が主催している、「母から子への手紙」公募は
メディアでも折々取り上げられているので知っている方もあるのでは。
そう、あの医学博士・野口英世の母・シカが、英世に宛てた手紙、です。
(cf;ありがとう広場>ありがとうの言葉をこの人に伝えたい>母から子への手紙
http://tekipaki.jp/~gon/park/kotoba05.htm

はるになるト。みなほかいド(北海道)に。いてしまいます。わたしも。こころぼそくありまする。
ドか(どうか)はやく。きてくだされ。
かねを。もろた。こトたれにこきかせません。それをきかせるトみなのれて(飲まれて)。しまいます。
はやくきてくたされ。はやくきてくたされはやくきてくたされ。はやくきてくたされ。
いしよ(一生)のたのみて。ありまする。


春になるとみんな北海道に行ってしまうので、心細いのです。
どうか、早く来てください。
お金を(あなたから?)もらったけれど、
それを言うとみんなの飲み代になってしまうので言えません。
早く来てください、早く来てください、早く来てください。
一生の頼みです。


…という内容。
うーん。親の思い、かくなるや。


…まぁ、実際に、親から今回こうした手紙をもらったからといって
それで私が節約するかどうかは別問題ではありますが(笑)。


かあさん、あなたの愚息は、今日も元気に暮らしております。

*1:東京オリンピック3位のマラソンランナー。
「父上様、母上様、三日とろろ美味しゆうございました。」に始まる、「美味しゅうございました」の繰り返される遺書でも知られる。
サイト「太宰治 自殺と遺書」>円谷幸吉
http://www004.upp.so-net.ne.jp/kuhiwo/dazai/tsumuraya.html