#0030 Ben Harper and the Blind Boys of Alabama/There will be a light

There Will Be A Light(CCCD)
ベン・ハーパー&ザ・ブラインド・ボーイズ・オブ・アラバマ
『ゼア・ウィル・ビー・ア・ライト』


ベン・ハーパーが好きです。
以前、今はなき新宿のリキッドルームでの
来日ライブで、その凄さに撃たれました。
ギターが唸りを上げる、っていうのは
まさにこれか!と。
いや、唸り、といっても
ディストーションがバリバリ、とか
そういうのではなくて。
基本的にアコースティックギター(ワイゼンボーン)を使った
ブルージーな音ですが、
でも、その音自体がギターの胴を通じて空気に響き、
その空気に底から響くようなうねりを
加えていく、という感じなんです。


あのライブはまだ二枚目のアルバム「Fight for your mind」が
多分出たばかりの頃だったはず。
Fight for Your Mind Ben Harper/Fight for your mind
その後、彼の全アルバムを買っているわけではありませんが
かなり気になる人物、ではあります。


そして今日、CD屋をブラブラしていると、ブルース棚の前に
ジャケットの絵柄がなぜか目に付くディスクが。
それが、この「ゼア・ウィル・ビー・ア・ライト」でした。
しかも、ベン・ハーパーと、
ブラインド・ボーイズ・オブ・アラバマの共演!!
”しかも”なんて書きましたが、
このBlind boys of Alabama(http://www.blindboys.com/)、
さほど知っているわけではなく
コンピレーション盤などで
時折耳にしていた程度ですが。
あれっ、でも記憶では
「ファイブ・ブラインド・ボーイズ・オブ・アラバマ」という
名称だった気がしますが…。
(そういえば、この「…アラバマ」とは別に、
 「ファイブ・ブラインド・ボーイズ・オブ・ミシシッピ」という
 グループもありました。)

1948-51
あ、やっぱりそうだ、5人ですよね。

Sermon
ほらね、こんな感じで5人で…、って、あれ?
6人いませんか、ファイブ・ブラインド・ボーイズさん…。


1939年結成のゴスペルグループで、
リードvo.がクラレンス・ファウンテンですから
「ファイブ・ブラインド〜」と「ブラインド〜」は
基本は同一のグループのようですが、
さすがにそれだけ長いキャリアの中で
5人から何人か欠けてしまったのかも。
今回、ディスクのライナーの写真に写っているのも、
ベン・ハーパーの他は3人だけに見えるし。


ちょっとだけ気になったので
彼らのサイト(http://www.blindboys.com/)を調べてみたら、
どうやらオリジナルメンバーで残っているのは、
Clarence Fountain、Jimmy Carter、George Scottという
ヴォーカルの三人。
その他に、現在はJoey Williams(LG)、Eric (Ricky) McKinnie(RG)、
Bobby (Caleb) Butler(RG)、Tracy Pierce(B)、といった
メンバーも加わっているようですが、
オフィシャルサイトを見ても
どこまでが公式メンバーなのか、ちょっと判りません…。
リードギターのJoey WilliamsやベースのTracy Pierceにいたっては
顔写真すらメンバー紹介欄に載ってませんし…。
いちおうこのCDのライナーには、上記の7名の名前が全部
載っていましたが。


さて、それはともかく。
一曲目「take my hand」は
ゴスペル風の低く響くハーモニーの上に
ベン・ハーパーのメインヴォーカルが重なるナンバーです。
二曲目の「wicked man」は
ベン・ハーパー得意の
アップテンポで明るいメロディでありながら
歌詞は聖書的なモチーフを感じさせる、という
深みのある曲。
たぶんベンによるものらしいギターがグイングインと
唸りを上げています。
三曲目、「Where could I go」は、
ついすすり泣きしてしまいそうなスローナンバーで、
オーティス・レディングあたりを
彷彿とさせるその余韻感。
バックの演奏も叙情タップリで、
つい忌野清志郎の「スローバラード」や「エンジェル」などが
思い浮かんでしまいました。


六曲目の「Well, Well, Well」は
ボブ・ディランとダニー・オキーフの共作曲のカヴァーのようですが、
太めのゆったりとしたギターの音から入り
枯れたゴスペル〜ブルーステイストたっぷり、です。
弾く指先から血が滴るか、という泣きのスライドギターに重なる
ブラインド・ボーイズの渋みたっぷりのハーモニー。


「Satisfied mind」では多分、
ブラインド・ボーイズ(クラレンス?)と
ベンが交互にリードヴォーカルを取っていて、
そのセッションぶりがまたイイ。
他にもトラディショナル=伝承曲の
「mother pray」では、曲頭から
ベンとブラインド・ボーイズの
アカペラでのハーモニーでシミジミ聴かせます。


今、ふと思ったのですが、
スローナンバーでのベン・ハーパーの魅力って、
私にとって、どこかボブ・マーリー
通じるところがあるような気がします。
何か、時に魂を絞り出すように、
時に優しく受け入れてくれるように
響くその歌。


久々に、ベン・ハーパーの魅力にフラフラ、です。
今日はウィスキーでも飲んで、寝ます。