#0001 Directors Label:ミシェル・ゴンドリーBest Selection


DIRECTORS LABEL ミシェル・ゴンドリー BEST SELECTION [DVD]
『Directors Label: Michel Gondry Best Selection』(2004年)


これ、すごく好きなんですよ。
で、取り上げようと思ってみたものの、
日記のタイトル分けとしては
何にしたらいいのかなぁ、と。
で、しかたなく音楽+映像で
[音楽映像](へんな言葉…(笑))に
区分してみました。
ライブ映像のDVDとかも
きっとこのジャンルに入るのでは、と思いながら。


私、PVの流れるジュークボックスって
大好きなんですよ。
学生の頃、彼女とボウリング場に行って、
ついついジュークボックスの映像に気を取られてばかりで
怒られた記憶があります(笑)。


で、最近再びそのジューク熱が
沸騰したのが、このDVDにも収録されていた
あるPVに出会ってから。


それが、Chemical Brothersの「Star Guitar」です!
これ、本当にもう、「インクレディブル!」と
欧米人になって青い目で叫んでしまうくらい(<意味不明…)
スゴイです。


ぱっと見は、
一曲の間中、ずっと
電車の窓の外を流れていく線路沿いの景色を
淡々と撮しているだけに見えるんですが、
曲が始まって数十秒してから「あれっ?」と感じ始め、
1分くらい経ったところで「あっ、間違いない!!!」と
その仕掛けに気付いたんですね〜。


この曲、ケミカル・ブラザーズの曲なんで、
けっこう同じような音の効果が
繰り返されたりするんですよ。
ちょっとフランジャーの掛かったような音や、
ドラムの音の並びとか、ベースラインとか。


で、そのそれぞれに、
車窓から見えるアイテムが割り当てられてるんです!
例えば、バスドラムがドン、と鳴る音に合わせて
線路脇に建った小屋が車窓の外を通り過ぎていったり。
つまり、
ドドンドドンドンドンドンドンドン、というドラムの音に合わせて
「ドドンドドンドンドンドンドンドン」っていう間隔で一列に並んだ
たくさんの小屋が、映像の中を横切っていくわけですよ。
で、フランジャーの音が「グゥ〜〜ン」と言えば、
車窓の外に見えている空が、
それにあわせてグゥ〜〜ンと夜になり、また
グゥ〜〜ン、と朝になる、という。


…うー、私の言語能力では
うまく説明できない…。
まぁ、説明的に言えば、
楽譜に書かれている音符を
そのまま映像上の柱や建物などのアイテムに置き換えて、
映像による「楽譜」を作り上げた、って
感じでしょうか。


これ、見ていると本当に気持ちイイ!


この映像を見て、改めて
「そういえば電車に乗って窓から外を眺めてる時って、
電信柱の並びがリズミカルに思えたりしたことって
あるよなぁ」なんて感じたことがあるのを
思い出したりして。
やっぱり、こういうもののアイディアって
いろんなところに転がってるもんなんですね〜、
ただ、それを作品という形に繋げられるかどうか、という
発想力があるかないか、が違ってくるという。


で、最初はこのPVを作ったディレクターのことを
全く知らなかったので、
いろいろネットで調べていたら、
ミシェル・ゴンドリーという人らしい、ということが判り。
で、彼が作ったPVを集めたDVDが出てるらしいよ!と
いうことで、早速、買ってしまいました。
それが、このディスクなんですね〜。
どうやら彼は、「ヒューマン・ネイチャー」という映画を
初監督で撮っているみたいです。
こっちは未見ですが。


ヒューマン・ネイチュア コレクターズ・エディション [DVD]


この「Michel Gondry Best Selection」、
「Directors Label」という
シリーズの中の一つなんですが、
他に「スパイク・ジョーンズ篇」「クリス・カニンガム篇」が
出ています。ええ、3巻とも手に入れましたよ〜。
(ちょっと高かったけど…、値段分以上に楽しめました!)
他の2巻の中では、スパイク・ジョーンズによる
Beastie Boysの「Sabotage」が最高ですね!!
ビースティの3人が、それぞれ70年代?っぽい刑事ドラマ*1
主人公に(変なヅラや付け髭、そしてレイバンで(笑))扮し、
サボタージュ」の音楽に乗せて
カーチェイスしたり犯人と格闘したり、という映像が
映画のオープニングのタイトルロールのように
流れる、というものなんです。
で、クリス・カニンガム篇では、
ビョークが無機質でありながら妙にエロチックなサイボーグ?に
扮するという「All is full of love」が記憶に残ってます。



で、話はミシェル・ゴンドリーに戻って。
このDVDに収録されているPVの中で、
「Star Guitar」と似た手法で(でももっとシンプルな撮影で)
撮られているのがあり、これがまたコミカルなんですよ。
それが、Daft Punkの「Around The World」です。
ここでは、舞台の中央に半円状になった
階段状のステージが設置されていて、
その上をいくつかのキャラクターが昇ったり降りたり、
またその周りを右回りや左回りに動くんです。
それでやっぱり、ベース音には
マッチョな体にちっちゃな頭(着ぐるみ)を乗せた
運動選手の動きが当てはめられ、
ギターのフレーズには骸骨のぎくしゃくした動きが、
またシンセ・サイザーにはスパンコールの水着?を来た女性達、
ヴォコーダーにはロボット、ドラムにはミイラという
それぞれの動きが当てはめられています。
どうやらこのキャラの割り当て、
ゴンドリーが感じたこの曲の各楽器のイメージらしいんですね。
各キャラの動きも、ロックダンスっぽい動きがあったり
ディスコっぽい動きがあったりして
なんだかつい笑っていまいます。


いやぁ、やっぱり「動き」と「音」が
シンクロしているものって
すごく単純にオモシロイなぁ、と
改めて感じさせられました。
ゴンドリー、まさに「天才!!!!!!!!!」です。
ホントは収録されている27曲(DVD二枚組です)全部について
書きたいくらいですが、
十分に長く書いたので、この辺にしておきます。
そのうちまた懲りずに
「ゴンドリーその2」とか書くかもしれませんが…(笑)。

*1:後で知ったのですが、1976年〜のアメリカの刑事ドラマ「スタスキー&ハッチ」が元ネタらしいです。今、リバイバルでDVDも出てます