旅の終わりは、いつでも少しだけ寂しい

ネパールの郵便ポスト



【7日目】ラサ(チベット)→カトマンズ(ネパール)→日本


8月14日。
いよいよチベットを発つ日がやってきました。
早朝ホテルを出ると、
一路、ゴンカル空港へ。
家の壁にもたれて外を眺めている小さな子どもたち、
ヤルツァンポ川の川辺にはためく五色のタルチョ、
建設途中の片側3車線はありそうなアスファルトの道路。
途中で目にする路傍の光景も、
数日前にゴンカル空港に降り立った直後とは
どことなく違って見えます。
チベットに対する未知の期待感でいっぱいだった初日から、
ラサをわずかながら見て回った喜びに加えて
チベットはこれからどんな歴史を重ねていくんだろう…」という
漠とした寂しさと不安の入りまじった気持ちへ、
ラサを見る自分の中の思いが
いつのまにかシフトしていたのかもしれません。


そして、車はゴンカル空港へ到着。
飛行機は、あっというまにラサを飛び立ちました。
それは、ラサ滞在の余韻をかみしめる余裕もなく
ほぼ定刻の出発でした。
あっという間に、窓の外に見えていた
チベットの街並み、そして山河が
小さく遠ざかっていきます。


と、機内で出された軽食を食べ終えたかと思うとすぐに
カトマンズ空港に到着。
これがこの8日間の旅のしめくくりと思うと、
「最後まで思い切り楽しまなくては」という
気分になってきて、
どこへ行こうか、とあれこれ悩みます。
最初は、デイユースになっていたホテルの周辺・タメル地区を
じっくり散策しようかと思っていたのですが、
ちょっと早い昼食のカレーを手づかみで食べているうちに
「せっかくだから寺でも見に行こう!」という気持ちに。
まだネパールのタクシーにも乗ってみていなかったし、
ともかく、比較的近いらしいスワヤンブナートへ向かうべく
道ばたに停まっていたタクシーの運転手と価格交渉。
50ルピーでなんとか交渉成立し、いざスワヤンブナートへ。
このスワヤンブナート、別名「モンキー・テンプル」と
いうだけあって、急な参道の階段のあちこちに
サルたちがいます。
その間をすり抜けて階段を上りきると、
目の前に開けていたのは、見事な眺望!!
そして、吹いてくる風が涼しくて気持ちいい。
階段を登ってきたせいで
額に浮かんでいた汗もすっかり引いていきました。


そして続いて、タクシーの相場も少しだけわかったところで
再び値段交渉を繰り返し、
時に「そんな値段じゃムリ!」と断られながらも
なんとか一台の運転手と交渉成立、
ダルバール広場へ向かいました。


このダルバール広場、実はあまり期待していなかったのですが
意外に雑然とした雰囲気で、楽しめます。
ここはもともと、王宮とそれを囲む広場だったとか。
古い建物が軒を並べ並び、
日本で言えば五重塔にあたるような
複数層になった木造らしい塔もあります。
生き神と呼ばれる少女クマリがいるという
クマリの館も訪れましたが、
残念ながらクマリには会えず。
でも、ぶらぶらと土産物の露店を眺めながら
売り子の人とつたないコミュニケーションをとるだけでも
十分楽しめます。


ルピーに換金した金額を
こまごました土産物の購入でほぼキレイに使い終えると、
なんとタクシーを拾えなくなってしまった!
まぁなんとかなる、ということで
リキシャ(三輪自転車)の後ろに乗って
なんとかホテルへたどり着くことが出来ました。

あとは夕方、ツアー全員でホテルのロビーに集合し、
荷物をまとめた上でネパール料理のレストランへ。
貴族の家だったのでは、と思わせるような
立派なレストランの建物の中では、
民族舞踊の上演もあり、
ネパールでの最後の夜の記念に、と
エベレスト・ビールを飲み干して乾杯。
日中動き回った疲れもあってか、
心地よい酔いでした。


食事を終えると、
ワンボックスの車で
夜のカトマンズ空港へ向かいます。
窓の外に見える景色が
酔いのせいか少しぼんやりと滲んで見えて、
「あぁ、この旅も終わりか…」と
しみじみ。
空港に着くと、チェックインや
手荷物検査などでバタバタしているうちに
あっというまにフライトの時間が。
そして、夜のカトマンズを眼下にしながら
上海経由で大阪国際空港へと向かう
機上の人となったのでした。


(*この日記は、帰国後に旅程を振り返って書いたものです)