青すぎる空の底を見つめながら

青すぎる空の下で


【5日目】ラサ(チベット

8月12日。
今日は念願のポタラ宮訪問。
ついに!ついに!!!!


今回の旅行は、私にとって
いわば「ポタラ宮詣で」の旅。
ただただ「ポタラ宮が見たい」、その思いで
旅立ったのでした。


そのポタラ宮に入ることが出来る!
…実は旅立つ前に耳にした情報では、
近年、観光客の激増により
ポタラ宮を拝観できる人数が限られている、とのこと。
いくつかの旅行社で聞いても、
あまりはっきりした答はなかったのですが、
今回私の選んだ旅行社は安心でした。
なんと現地のスタッフが、
深夜から翌日、翌々日の拝観入場券を求めるために
並んでくれていたとのこと。すごい!感謝、です。
なんとその許された入場人数、1日わずか1000人とか…。
でも、おかげでゆったりと宮中を見て回ることが出来ました。
きっとフリーの旅で来ていたら、
敷地を囲う塀の外から指をくわえて
ポタラ宮を眺めていたことでしょう。


このポタラ宮、そのたたずまいに、もうただただ圧倒されます。
「垂直のベルサイユ宮殿」なんて呼ばれることもあるようですが、
なんのなんの。むしろベルサイユ宮殿の方に
「平べったいポタラ宮」と名付けたくなるくらいです。
(私自身、ベルサイユ宮殿を見たこともないのに
なんと勝手な身びいき…(笑))
その、小山の上にそびえ立つ白壁の建造物には
本当に、見ていてなぜだか涙がにじみました。


もともとこの場にあった小山の中腹に
観音菩薩を祀ったことから始まったというこの
ポタラ宮の歴史。
後に五世ダライ・ラマが大増築を行い、
五世の没後の工期も含めて約五十年という
長い間をかけてほぼ現在の姿になったとか。
拝観コースは決められていて、
建物西側の入り口門を経て裏側(北側)の入り口から敷地内に入り、
主に紅宮と呼ばれる宗教の場を巡るコースになっていました。
で、出口は建物正面側(南側)。この南側の門が、
巡礼者たちの入り口となっているようです。


この日、ポタラ宮拝観を終えたあとは
大昭寺近くのレストラン「チベット・ラサ・キッチン」にて
カレーのセットを食しました。
観光客向けのせいか、
なかなか食べやすい味だった記憶があります。
と、そのレストランの窓際におかれたスピーカーから
とぎれとぎれに流れてきたのが、
イーグルスの「ホテル・カリフォルニア」。


この曲、すごく好きなんです。
歌詞が(といっても最初からヒアリングできたわけではなく(笑)
CDの歌詞カードを見て知ったのですが)
なんともイイ。


砂埃の中に少しだけ夜の湿り気を帯びはじめた風、
ハイウェイのはるか先に見えてきたかすかなネオンサイン。
その明かりに誘われるようにホテルに入ると、
中庭には、何かを忘れようとしているかのように
音もなくただただ踊り続ける人々の群れ…。
ベッドに潜り込んで、運転に疲れた目を休めようとすると
どこからともなく響いてくるのは、夜のささやき声。
ホテル・カリフォルニアへようこそ、
出口を見失ってしまったあなた…。
どこへでも行くことはできますが、
ここを立ち去ることはできないんですよ…」
(イメージの意訳です、歌詞通りではありませんので念のため)


真夏の青すぎる空を見つめていると、
この曲が耳の奥に響き、それと共に
切ない、”やるせない”というのがまさにピッタリの
感情が湧き上がってきます。


旅先でふと耳にする音楽。
それは、何かを目にするのとはまた違った感触を
心の中に残してくれる気がします。


(*この日記は、帰国後に旅程を振り返って書いたものです)