#0005 『FREESTYLE: THE ART OF RHYME』

「初日には行かないと思いますが」なんて
先日書きましたが。
思い切り初日、イベントのある夜に見に行ってきました。
フリースタイルラップのドキュメンタリー映画
フリースタイル:ジ・アート・オブ・ライム」。


これがスゴかったんですよ〜〜!
即興で語を、いわば「空中から掴みだして」紡いでいく。
黒人教会での説教師のスピーチから
モハメッド・アリのトークといったあたりまで
視野に入れながら、
オーガニックフードのショップ
「Good Life Cafe」で90年代初期に始まった
オープンマイク*1イベント「Underground Radio」、
そして現在形へ。


この映画はドキュメンタリー形式で、
ラスト・ポエッツによる「フリースタイルの歴史」の話を軸にしながら
展開していく、というもの。
Supernatural、Craig-G、Juice、など様々なラッパーたちが登場し、
自分の「フリースタイル」への思いを語る。
そして、間に挿入される鳥肌が立つようなフリースタイルバトルの
記録映像の数々。
中でもすごかったのは、
Supernatural vs Craig-Gの2つのバトル
(最初はCraig-Gの勝利、リベンジマッチではSupernaturalの勝利)と、
Supernatural vs Juiceのバトル(Supernatural圧勝!)。


そして、「おお〜っ!」と見入ってしまったのが、
Notrious B.I.G.が17歳の時の、路上でのフリースタイルの映像。
スゲェ…。


映画の中で、またカッコイイ言葉があったんですよ。
「最高のヒップホップは、“再現できない瞬間”にあるんだ」
というような意味の言葉で。
録り直しOKの“CD”という記録に残すのとは違った、
「その場で生まれる」フリースタイルの魅力は
まさにそこにあり、ですよね。


id:adoreさんもダイアリーで書かれていた、
映画のエンドロールに流れる
J.クリシュナムルティの言葉が
また泣けます。

「Only when our hearts are empty of the things of the mind
is there love without separation,without fear
there is only love
there is no you or me in this state
there is only a flame without smoke」
(前半は私の語学力では訳しにくいんですが、おおむね
 「自他の境界が崩れ去って心が空になったときにこそ
  真の愛の炎が生まれるんだ」みたいなことでしょうか)


この映画のプログラムには
映画に登場するバトルやソロのフリースタイル
和英対訳で載ってたりするので
必見、です。(上のクリシュナムルティのフレーズも、
プログラム記載のものの転載です)


個人的には丁々発止のバトルシーンもスゴくおもしろかったんですが、
サイファ*2のシーンの
楽しそうな様子が印象的でした。
あれって、「連歌」的な展開になっていくと
かなりおもしろそうですね。
前の人のネタを受けて自分のものとしてリリックを
繋げていく、という感じで。
…まぁ、その程度の多い少ないこそあれ、
だいたいそうやってるんでしょうけれど。
監督のケヴィンも、
「実は僕は、敵対するようなバトルはあまり好きじゃなくて、
人と人が繋がっていくサイファーに惹かれるんだ」って
いうようなことを言ってましたが。


…そう、この日は上映初日って事で
監督のケヴィン・フィッツジェラルド
サウンドミキサーのタイ・バートランド
ちょっとしたトークがあったんです!
その後で、例のMC漢(from MSC)とヒューマンビートボクサーの太華による
フリースタイルのミニステージがあったんですが、
なかなかよかったですよ〜。


でも、実は、映画とポストトーク、そしてステージが終わった
その後があって。


映画館前の路上で、
太華のビートに合わせて
MC漢と劇場に来ていたフリースタイラーたちが
4〜6人で輪になってサイファーを始めたんですよ。
そりゃもう生、ですから。見てて、ノリまくりです。
監督ケヴィンもビデオを回してました。
北海道から出てきたばかりの人とか、
関西からの人とか。一人だけJACKって名乗ってた
若いフリースタイラーがいたのは判りました。
最初はディス(けなし)っぽいライムが多く、
ガンつけまくりながらライミング、とかの
場面もあったんですが、
それでもやっぱりフリースタイラーの同志。
最終的にはイイ雰囲気になっていて、
ホント楽しかったです〜〜!


そうそう、会場でもらったチラシで見たんですが、
4/28に恵比寿のMilkで
フリースタイルバトル大会、「Ultimate MC Battle」の
東京最終予選が開催されるようです。
(cf: ULTIMATE MC BATTLE blog http://mcbattle.exblog.jp
フリーエントリー(64名限定ですが)、
しかも電話でのバトル参加もOK、とのこと。
見に行きたくなってきました〜。
あ、参加はしませんが(笑)。

*1:だれもがステージに立ってマイクを持てるイベント

*2:cipher=ゼロ→○。そこから、輪になってフリースタイルのライミングを繋げていくことを指すらしいです