#0003 KOKAMI@network vol.6/リンダリンダ

今日は、映像フェスティバル「resfest2004」を見た後で
新宿へ移動。
コマ劇地下にあるシアターアプル
鴻上尚史作・演出の「リンダリンダ」を
見てきました。


でも、正直言って、期待したほどではなかった、というところ。
KOKAMI@networkと題しての公演では、
ゲスト出演者を集めて舞台を作り上げる、という
感じのシステムになっているようです。


ストーリーを大雑把に説明すると、
ヴォーカルをメジャー会社に引き抜かれてしまったバンド、
「はらはら時計*1」。ドラムも故郷のアザハヤに帰ってしまい、
残された二人とマネージャーは、これからどうするか悩んでいる。
そこで主人公(山本耕史)が思いついたのは、
ドラムが昔言っていた「アザハヤ湾*2」でのライブ。
アザハヤ湾は、今や大堤防で外海と遮断され、
ムツゴロウたちは姿を消してしまっているのだが
その大堤防を爆破し、戻ってきたムツゴロウたちを前にして
ライブをすれば、きっとドラムも、そしてヴォーカルも
戻ってきてくれる!!
そのちょっと強引な思いつきにすがるように、
主人公は元過激派の男(大高洋夫)を
仲間に入れて、爆弾づくりを始める。
一方、主人公の恋人(SILVA)は彼に、バンドは趣味にして、
まともな仕事についてほしいと思っていて、
また、その恋人役と親友でもあるマネージャー(馬渕英里何)は
ひそかに主人公に恋心。
ギター(松岡充)はそのマネージャーを好きになっていて…。
アザハヤ湾堤防爆破の日に向けて、
登場人物たちはそれぞれの思いを胸に、行動していく。


というところでしょうか。
私がマイナスに感じたポイントは、次のようなところ。


ブルーハーツの歌に、ゲスト陣の朗々とした歌唱法という組み合わせが
 あまりピンと来ない
・踊りがうまくない
・演技も大雑把
・ストーリーも強引
・劇中に登場する「過激派」の人物像がなんだかイイカゲン


そう、全体の印象を一言でいえば、「学芸会」っぽい。
登場人物が豪華な学芸会、というのが最初の印象でした。
基本的に、あまりマイナス評価のものに対して
コメントを乗せる、ということが
好きでないのですが、
こればかりはしかたない。


3時間ほどの上演時間で、間に休憩が入るのですが
その時に「もう途中退出してしまおうかなぁ…」と
思ったくらいです。


でも、最後まで見てよかった。
それなりに、楽しめるんです。
歌唱法の違和感も、後半にはあまり気にならなくなったし。
(逆に、これを松岡充sophia)でなくてコザック前田とかが
 歌っていたら、かえって”似たもの”感が強すぎて
 また違った違和感を感じたかもしれない…。)
それというのも、主人公たちが結成しているバンド「はらはら時計」の
ギタリストを演じる松岡充が、けっこうよかったんですよ。
カッコいいんだけど、本人はそれを全然意識していなくて、
恋愛ベタで、ライブのステージでは上がり症で歌を歌えず、
というちょっとギコチない感じをうまく出していて。


あとは、やっぱり北村有起哉!!
警察官でありながら、「はらはら時計」の演奏に惹かれて
ドラムの後釜としてメンバーに加入し、
アザハヤ湾堤防爆破の情報を入手した警察側から
内偵を命じられるという役なのですが。
この人、いいですよ〜、ホント。
今回は思いっきりコミカルな役でしたが、
それがミゴトにはまってました。
ちょっと筧利夫にキャラが被るのでは、と
いらぬ心配もしたりはしましたが。


元過激派役はいまいちキャラが立っていなくて、
(役者はよかったのですが、脚本上の問題だと思います)
彼と、長い間会えないでいた妻子とのエピソードも
蛇足というか、ちょっと取って付けたようだったし…。


主人公(山本耕史)は、あの強引な役柄設定を
うまく演じていたと思います。

いいじゃないですか、学芸会でも。まぁ楽しかったですよ、ハイ。
なにか一つ取り上げて「これがよかったから舞台がおもしろくなった」とは
言いにくいところでしたが、
そういう「全部ミックスして、これで(まぁ)OK!」という感じこそが
こういうゲスト出演者の集まりによる
舞台のマジックかな、とも思ったりして。
全編にちりばめられたブルーハーツの楽曲自体の良さも
効いていたと思います。


…でも、今度からは鴻上の「KOKAMI@network」は
見に行かなくてもいいかなぁ…。
八千円強、はやっぱり高い。
サードステージものは、まだまだ見たいと思いますが。
私は、鴻上尚史に対して、
コミカルさはあるにしてもやっぱり根底でシリアスなものを
求めているのかもしれません。


(あれっ、あのバンド、ベースは誰だったかなぁ…。山本耕史
もしかしたら松岡充はベースだったかも…)

*1:昔、過激派による爆弾づくりの手引き書に、こういう名前のものがありました

*2:諫早湾が話のベースになっています