#0031 Simon & Garfunkel/The Siomn And Garfunkel Collection

影の落ちる路



秋です。
秋になると思い出す曲があります。
ひとつは、サイモン&ガーファンクル
「Hazy Shade of Winter(冬の散歩道)」、
そしてもうひとつはElton John
「Goodbye Yellow Brick Road(黄昏のレンガ路)」。
…S&Gの方は、”冬”なんですけど、ね。


ということで、
今日取り上げるのはこのディスク、
「The Simon And Garfunkel Collection(邦題:若き緑の日々)」です。
asin:B00005GB3S
副題は17 of Their All-Time Greatest Recordings。
まぁ、いわゆるベスト盤です。


サイモンとガーファンクル”を
一番よく聞いていたのは、高校生の頃かな。
家にあった、やっぱりベスト盤的アルバム(カセットテープ)を
愛聴していました。
そのアルバム、今となっては何だったか
よく思い出せないんですよ。
「Bye Bye Love」が終盤近くに入っていて、
しかもライブ盤だったように
記憶しているのですが。
セントラルパークコンサートのライブ盤では
なさそうなんですよね。


それはともかく。
なぜ秋になるとS&Gの「Hazy Shade Of Winter」を
思い出すのか?
それはやはり、歩道に影を落としている樹々の葉陰の
せいでしょう。
”Hazy Shade”という言葉が、
なんだか心の中でリンクするんですね、多分。


それにしても、
久しぶりにこのS&Gのアルバムを取り出してみましたが、
やっぱりイイですね〜。
切ないハーモニーと
時に静かに、そして時に呟くようでありながら強く、
語りかけてくる歌詞。
アコースティックなサウンドも、
その雰囲気にしっくりと馴染んでいます。


ドサまわりの途中の流しのギター弾き(っていうとなんだか演歌的ですが…)を
モチーフにした「Homeward Bound」、
グレイハウンドバスに乗って
あてのない旅に出た二人の恋人を歌った「America」、
古くからのイギリス民謡をベースにした「Scarborough Fair」、
貧しくてボクシングで成功するしかない少年の歌「The Boxer」、
ネオンの瞬きがまぶしい街の中で
静かに沈み込んでいくような内省的な雰囲気を歌った
「The Sounds of silence」。
もちろん、「コンドルは飛んで行く(El Condor Pasa(If I Could)」や
「明日に架ける橋(Bridge Over The Troubled Water)」といった
超メジャー曲も収録されています。
この中では、どの曲も好きなのですが
「The Boxer」を一番よく聴いたかな。
後半、「荒野に一人立つボクサー、
自分を打ちのめし、うめきを上げさせた拳の記憶を
怒りや恥ずかしさと共に心の中に持ちながら
それでも闘い続けている…」といった歌詞のところから
静かに響き始め、次第に強く印象的に響くドラム(バスドラからスネア?)の
ドン、ドン、という音が
主人公を打つ拳の音のように思えて……。
泣けました。


ふと、サイモンとガーファンクル
少しだけかすれそうな高音のヴォーカル、
そして一聴するとどこかほがらかなくらいソフトなメロディが、
枯れ葉の落ちる音や落ち葉を踏みしめる音に重なって思えて、
切なくなりました。


秋、ですね。