#0024 Skip James/Blues From The Delta

『Blues From The Delta』



スキップ・ジェームス/ブルース・フロム・ザ・デルタ
ASIN:B000009NLQ)


昨日スキップ・ジェームスの話が出たところで、
さっそく、何のヒネリもありませんが
彼のCD、です。


私の手元にある彼のCDは、実はこれ一枚。
元々あまり録音の多いブルーズマンじゃないようではありますが…。
彼が最初に録音した1931年の音源を後にまとめたもの
 (『Complete early recordings of Skip James -1930』
  (1994年/ASIN:B000000G8L)と、
  『Complete Recorded』(1994年/ASIN:B000000J29
の他は、いわゆる「ブルース再発見」後の録音の
『Today!』(1966年/ASIN:B000000EJ1)と
『Devil Got My Woman』(1968年/ASIN:B000000EJX)の
二枚のみが多分オリジナル発売でしょう。
あっ、あと1968/3/30のライブを収めた
『Complete Bloomington Indiana Concert』が
Vol 1,2の二枚(ASIN:B00001R3KB、ASIN:B00001R3KC)と、
1964年のライブ音源
『Live: Boston, 1964』(ASIN:B000000J69)が出てますね。
(ところで、上記の『Complete Recorded』ASIN:B000000J29
 AMAZONのサイトに飛ぶと全曲試聴がついているので、
 興味を持たれた方はぜひドーゾ。)




で、この『Blues From The Delta』は、
その二枚のスタジオ録音のアルバムからピックアップした9曲ずつに加え、
音源情報無しの未発表曲2曲
(「She's All The World To Me」「Everybody Leaving Here」)
を収めたものです。
たしか、映画『ゴーストワールド』を見た後に向かった
CD屋では、このアルバムしか置いていなかった記憶が。
それでこれを買ったんだと思います。
(ちょっとジャケが冴えませんよね…)


それにしても、彼のギターは線が細くて、それが魅力ですね〜!
静かに悲しい感じ、とでも言うんでしょうか。
声も枯れたファルセットで、
その悲しさ、繊細さが際立ちます。
よく、都会的なシカゴ・ブルース、泥臭いデルタ・ブルース、
と言われるようですが、
このスキップ・ジェームスはデルタの人でありながら、
ゴリゴリした泥臭さを感じません。
小さな家のテラスや庭先に出した椅子で
老人が静かにギターを爪弾いている、
そんなブルースのイメージをお持ちの方には
まさにピッタリの音の姿では。
ブルースロックのイメージで初めてオリジナルブルースに触れる人には、
このスキップ・ジェームスを選んでしまったら
ちょっと期待はずれかもしれませんね。


で、再び彼のCD『Blues from the Delta』に戻って。
やっぱりなんといっても好きなのは
「Devil Got My Woman」でしょうか。
”オレの女が悪魔のせいで去ってしまった、
 オレが大事な親友から奪ったあの女、
 ヤツの元に戻っていってしまった”
っていう歌詞のようで、
考えてみると、映画『ゴーストワールド』の
主人公の心境にほんのちょっとだけ重なるものがありますね。
『ゴースト…』では、別に親友に彼を取られるわけではありませんが…。
ブルースの歌詞って、単純で、しかも繰り返しが多く、
似たようなテーマを扱ったもの(カネがない、女が逃げた、など)
が多いんですが、やっぱり歌詞を知ってみると
その曲を聴く気持ちも少しだけ深まるような気がします。


他の収録曲では、
ジミ・ヘンドリクスもよく演っていた「Catfish Blues」
(ジミの場合はマディ・ウォーターズのバージョンを元にしているようですが。
 元々は、古くから伝わる作者不明の曲のようですね)、
「Special Rider Blues」なんかが心に残りますね〜。
1902年生まれの彼は、いわゆる戦前ブルースの再発見ブームで
復活する前は、1931年に録音したレコードがあまり売れず、
教会でゴスペル・グループを組んだりした後、
音楽を一時は捨てて、木を切り出したり
ラクターを運転したりしていたようです。
(と、このCDのライナーに書いてありました…)
まぁ、けっこうブルースマンってそういう変遷を経てきた人が
多いようですが。


最近、彼の初期の録音をまとめたCDを注文したので、
手元に届いたら再発見後のものと
ちょっと聴き比べてみようかな、と思っています。