#0017 Anil Singh / MHz(Megahertz)

Anil Singh / MHz


Anil Singhって誰?
そんなリアクションがけっこう多いのではないでしょうか。
それもそのはず、
これはネパールで買ってきたCDなんです。
でも、けっこうネパールでは売れている歌手らしいですよ。


海外に旅に行くと、
その国のポップ・ミュージックのCDやカセットを
1枚くらい買ってくることにしているのですが、
今回ネパールで購入したのがこのディスクでした。


ネパールのカトマンズで立ち寄ったのは、
普通の売店ならばパンやお菓子が入っていそうなガラスケースに
CDやカセットを陳列しただけの音楽ショップ。
そこで、店の女性に「ネパール・ポップ・ミュージック?」と
聞いて、いくつか出してもらう。
でも、彼女が最初に出してきたのは
いかにも民族音楽っぽいCD。
そこで、あれこれやりとりをしながら、
ショーケースの中でいかにもポップシンガーっぽいジャケットの
CDを指さして、何枚か出してもらいました。
そしてその中から選んだのがこの「Anil Singh」のアルバム。
店の女性も、好きなシンガーだとか。
ネパールなどではまだまだカセットが主流なので、
カセットに比べると高価なCDでも
リリースされているということは
多分かなり売れているシンガーなのでしょう。
単なる勘、ですが。


甘い顔立ちにサングラスでちょっとクール?な装い。
実はもう一枚、ネパール風B−BOYらしい人物が写った
ジャケ写のアルバムもあったのですが、
直感でこのAnil Singhを購入。
ジャケ裏を見ると、ネパールの音楽レーベル
「music.com」http://www.music.com.np による
リリースで、間違いなくネパールのシンガーのようです。
価格は250ルピーでした。


で、実際に聴いてみると…。
メローです。
決してセクシーヴォイスだったり物憂げだったりすることなく、
ただただソフトにメロー。
声質も含めて、どこかフィル・コリンズを思い出させる感じです。
中でもアルバム2曲目「I Love U」や
3曲目「Dubna Deu (Oh Oh)」は
かなりフィル・コリンズ色が強いですね。
でも、メロディのあちこちに
ピアニカ?アコーディオン?のような音が入ったりして、
ネパール的旋律もちりばめられており、
ちょっとかわいらしい感じです。
(…といってもネパールの伝統的旋律を知っているわけではないので
 単なるイメージです、あしからず)
で、聴き進んでいくと、
アコースティック(?)ギターが前面に出た曲
(5曲目「Sakchhou Bhane (Bida)」)もあったりして
なかなかバラエティに富んでいます。
この曲のギターソロ、なんともいえない独特のメロディの響きが
ちょっとヤミツキになりそうです。
エリック・クラプトン的スロー・ハンドという感じでしょうか。


7曲目の「Chiso Hawale (Love @ First Sight)」は
一転してハードロックのバラード風。
間奏ではギターがギュインギュインとうなりを上げています!
ベースとなる歌部分は基本的にメローなんですが、
サビにかけての盛り上げ方なんか、泣かせます。

そして驚くべきは9曲目「Kahan Bhetun (College)」!!
なんとスクラッチ音がフィーチャーされています。
ネパール・DJでしょうか。
このポップな甘い歌にスクラッチ音、という組み合わせが
新鮮です。


全体に、どこか懐かしのポップスを聴いているような印象ですが、
その中に、(たぶん)ネパール独特の旋律が感じられて、
けっこう楽しめたアルバムでした。


ところで、このアルバムにはメイン10曲に加えて
11曲目、12曲目はボーナストラックが
収録されています。
12曲目が終わり、聴き終えた、と思いきや、
CDプレイヤーはなぜか13曲目を示している!!
そのまま聴き続けてみると、
どうやらレーベルによる新曲紹介のようです。
さまざまな歌手による曲の短いサビのフレーズを繋ぎながら、
間にDJ(これはいわゆるラジオなどの
ディスク・ジョッキーの方ですね)
らしき人物による紹介の言葉が入っていて、
なんだかネパールのラジオを聴いているような臨場感があり、
音楽とは別にまた楽しめました。
一枚で二度おいしい!?


(検索していたら、こんなサイトに出会いました。
「Supports Nepali Bands and Singers」
http://uk.geocities.com/nepalimusik/
ネパールのポップ・ミュージックを中心に紹介しているサイトで、
試聴もできます!)