嗚呼、あるオトコの青春(?)

えー。
こんな恋の話があったと考えてみておくれ。


職場の十歳以上年下の部下のことが、好きになったらしい
アラフォーのオトコ。


その恋心はどうやら、この3〜4年くらいの間、
諸々ありながらも、後から考えるとずっと
心の底に流れてたらしい。
そのことは、そのオトコは後で改めて気付いたみたいだ。


その初期の頃は、もう盛り上がって、
告白もしたけれど、あえなく玉砕。
「そういう対象として見られません」、と言われたとか言われないとか。


で、職場の部下ということもあり、
その後はずーーーーーーーっと、
その想いは封印していたとしましょう。


「だって、別にどうとも思ってない上司から
 告白されて、しかもその後もなんやかんやちょっかいかけられたら
 パワハラだろ!?」と思ったりしたのかもしれませんな。


でも、その間3〜4年経ってるわけで、
彼女の想いも変わってるかもしれん、と思ってみたり
あれこれ悶々としてたわけですな、振り返ってみると。多分。
時折、好意(まぁ単に職場で一緒に働いている人、という
レベルでだろうが)を感じることもあり、
それがゆえに悶々悶々、としつつ
ともかくも気持ちを封印してたわけでしょう、ね。


そして時は流れ。


なんと、その女性が、実家のやむなき事情により、
退職することになった、と。


それまでは、ギコチナイながらも
上司と部下という関係の日々をなんとか続けてきた。
(いや、もう彼女は昔の告白の事なんて
 とうに忘却の彼方に追いやっているかもしれないけれど。
 ギコチナイのはそのオトコの方だけか(笑))
イヤもうそれはホント、ショックだったわけです、
いやちがった、ショックだったとしましょう。


で、改めて気付く、胸の中の、(小学生並みの)恋心。



告白する前は、残業の合間に「メシでも喰う?」とか言って
メシ喰って、あれこれ(仕事のことだけど)話をしたりしてても、
告白&玉砕以降は、そういうこともオトコの側から控えるようになり。


嗚呼、もう一度くらい、メシ喰って話でもしてみたいなぁ、と
思ってみたりしているのかもしれない。
別にそこから何かが生まれるわけではないことは
重々承知だろう。
でも、なぜかそう思ってしまうオトコ。バカだね〜。






そしてつい先日、ある日のこと。
意外に早めに仕事が終わったオトコが、職場から駅までの道のりを
歩いていた。
ちょっと先に退社した彼女が、自分の10メートルくらい先を
歩いているのが目に入る。


「どうする?声かけてメシに誘ってみる?どうする?どうする???」


そんな声がアタマの中でわんわんと反響する中、
彼女の向かう先の信号が赤になり、
次第に10メートルが8メートルに、8メートルが5メートルに近づいていく。


“声をかけろよ、オレ。
いや、やめとけよ。
いや、言っとけって。
いや、でも…。”


…そんな声がもう、頭蓋骨にコダマしまくってたことでしょう。


で、結局。
何気なく、彼女の存在に今気付いたようなふりをして、
「おお、○○! お疲れ〜」みたいなことを言って
彼女の横を通り過ぎ、誘わずじまいなヘタレオトコ。


嗚呼、死して屍拾う者なし。








…いや、話はまだそこでは終わらない。
その後ようやく、もういちどだけ、チャンスを掴んだオトコ。
「飯でも食う?」と言ったはいいけれど、
答えは「今日はちょっと…」と。
都合があったのか、単に気乗りがしなかったのか、
それともやっぱり予想していた答えなのか。


たかがメシなのに、これだけ悶々と出来るオトコ、
ある意味スゴイ存在だ。


そして、今週の金曜が、彼女の最終勤務日。だというお話だとしましょう。
職場自体も年内最終稼働日ということもあり、
その日はきっと納会になることでしょう。
となると、それ以外には、水・木の二日が
そのヘタレオトコに残された日なのかもしれない。
もう一度誘ってみるのか、誘わずに
その恋心の記憶が遠い彼方へと薄らいでいくのをひたすら待つのか。


その彼女に会えなくなった後、自分がどう思うのか。
あれこれ悩まずに自分の気持ちに素直になるとしたら、
それはどういう行動を取ることなのか。
後から振り返って何か後悔するとしたら、どうしておけばよかったと後悔するのか。
どうしておけば、後悔しないのか。
今、目前のイタいことを避けたいなんて思ってるんじゃないか。
いやいや、後悔しないようにしよう、なんてのも予防線を張る位置を変えてるだけで
予防線を意識して、イタい思いをすることを避けてることにかわりないんじゃないのか。
そうあれこれ想像しながら、一人、夜を過ごす。



…………。。。。
暗天に散る花火となれ、我が恋よ。
その花火が、たとえ誰の目にも止まらないにしても。